『祈りのカルテ』 知念実希人著
今回も”積読”の中から。
全然減らない私の”積読”…
新米医師の諏訪野良太は、
初期臨床研修で様々な科を回っている。
ある夜、睡眠薬を多量服用した女性が救急搬送されてきた。
離婚後、入退院を繰り返す彼女の行動に、
良太は違和感を覚える。
彼女はなぜか毎月5日に退院をしていたのだ。
胃がんの内視鏡手術を拒否する老人、
心臓移植を待つ女優など、
個性的な5人の患者の謎を、
良太は懸命に解きほぐしてゆく。
若き医師の成長と、
患者たちが胸に秘めた真実が心を震わす連作医療ミステリ!
(引用:角川文庫『祈りのカルテ』・裏表紙)
知念実希人さんは現役医師でもある作家さん。
知念さんの本は4冊目。
研修医の諏訪野良太は
精神科、消化器外科、皮膚科、小児科、循環器内科とそれぞれの科で
指導医から認められる働きをしながらも
何科に進むべきか決められずにいた。
良太が真正面から深く患者と関わろうとするが故のことだ。
良太の指導医たちも皆、素晴らしい医師たちだった。
でも、患者にとっては自分よりも少し高い位置にいて
そこから向き合ってくれる人たちだろう。
さらに患者自身は無意識のうちに一歩下がってしまうことが多い。
だから、医師には患者の見えない部分がある。
良太は患者と同じ場所、同じ目の高さで接する。
良太だから見える患者の姿がそこにあった。
連作短編なので
ちょうどいい感じの謎具合。
そこに良太の医師としての熱い想いがプラスされて
私好みの作品だった。